2011年10月09日

JobsとAppleと私

あっけなくSteve Jobsが逝ってしまいました。この3年ほどの瘦せ方を見ていれば、病気の重さは明らかだったし、9月末決算のAppleにあって8月下旬という中途半端な時期にはCEOも降りていたので、よくないのだろうな、とは感じていましたが、こんなにも早いとは……。

私がSteve Jobsという存在を知ったのは、Appleに復帰したときのニュースでです。その2年ほど前に、私にとって初めてのパーソナルコンピュータだったPower Macintosh 7200/90というマシンを買って(OSは漢字Talk7.5。本体で25万円くらいだったと思う)、来る日も来る日も心を躍らせて、なでまわしていました。Jobsが復帰してしばらくすると、AppleはThink differentというスローガンを掲げてキャンペーンを始めました。ダライラマ、アインシュタイン、ジョンとヨーコ、ガンジーといった「クレージーな人たち」の生き様に、Appleの企業姿勢を重ねあわせるCMにガツンとやられたのを覚えています。

その後、かの有名な半透明なiMac(シースルーと言う人が多かったけど、Appleはトランスルーセントと言ってましたね)を発売したときにJobsが多くのメディアで取り上げられ、このSteve Jobsっていう人はどうもすごいぞ、と意識し始めたわけです。ちなみに、私はそのiMacを周囲にすすめまくり、20台くらいはAppleの販売に貢献しました。

Appleは初代iMacに続いて、iMacの多色展開(The Rolling StonesのShe's a Rainbowが使われた5色のiMacのCMは衝撃的な美しさでした!)、OSの9への進化、iBookの発売、と畳み掛けていきます。一人のユーザーとして、この頃のAppleは見ていて、まさにV字回復で勢いに乗っていた印象があります。
それから少しして、暫定CEOだったJobsが正式にCEOになったと記憶しています。

確かその頃のAppleはMac関連の展示会「Mac World Expo」、Apple主催の開発者会議に加え、日本とヨーロッパでSteve Jobsが基調講演をしていて、そのたびに新商品が発表になって大きなニュースとして報じられていました。私はJobsの基調講演を、最近よく言われるようなプレゼンテーションのうまさという観点ではなく、どんなハード・ソフトが発表になるんだろうか、というユーザー・ファンの立場でしか見ていませんでした。当時、世間ではApple対Microsoftという対立構造が語られていて(Appleは意図的にそれをねらっていたと思う)、Jobsが基調講演でMicrosoftをユーモラスに風刺するのを楽しみにしていました。

その後のAppleは、iPodでユーザーの裾野を大きく広げ、Appleが一部のマニアックなファンの会社ではなくなっていきました。iPodに続いて、iPhone、そしてiPadでますます一般の会社と化していくAppleについてはもう皆さんご存知のとおりでしょう。

Jobsの訃報を伝える大手メディアはJobsを瀕死のAppleを救った天才経営者のように紹介しています。それを正しくないとは言いませんが、それ以外の面も含めてJobsを評価すべきなんじゃないかな、と思ったりもしています。

Jobsは何も次から次へと連続してヒット商品を世に出してきたわけではありません。販売がふるわず、短期間で販売終了になった商品もあります(たとえば、iPod HiFi。また、最近ようやく少し日の目があたってきたけどApple TVも販売的には期待以下ですね)。また、各地で活動していたユーザーグループへのAppleからの公式なサポートを打ち切ったのも、よくもわるくもJobsらしい施策です。そういうマイナス面も含めて、それでもやはりJobsが打ち出してくる、新しい何かに私も含めたユーザー・ファンは期待していたわけだと思うのです。

8月には時価総額で世界一になったApple。ハードもソフトもサービスも結びついたビジネスモデルは非常に強固ですし、今後4〜5年の事業戦略もきっちりできあがっているはずですから、当面はAppleのプレゼンスが大きく下がることはないと思います。もちろん、株価についてはJobsプレミアムがオンされていた面は否めないため、いくらか下がることは下がるでしょうが……。

また、Jobsがいなくなっても、今のAppleには十分、Jobsの哲学や考え方は浸透しているはずですから、今までのAppleらしさはそうそう薄れないでしょう。

ただ、Jobsがこの世にはもういない、という現実は残念ですが受けとめなければなりません。
Steve Jobsがこの世に生きていた時に、生きていることができた私はラッキーでした。
Thank you, and Bye Steve Jobs.

(ちなみに、タイトルの「JobsとAppleと私」は「部屋とYシャツと私」のパクリではありません。念のため)




posted by T.Futamura at 21:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記